日々の生活に欠かせないトイレは、清潔で快適な空間を保ちたい場所です。しかし、老朽化や不具合で思うように使用できず、困ってしまうこともあるでしょう。
そんな時は、トイレのリフォームを検討するのがおすすめです。この記事では、トイレリフォームにかかる費用相場や工事の期間などを詳しく解説します。
トイレリフォームで活用できる助成金や補助金についても紹介しているので、ぜひリフォームの参考にしてください。
トイレリフォームの費用相場
トイレリフォームにかかる費用は、部分的なリフォームであれば10万円未満、トイレ交換が入ると10万円から30万円以上が目安です。
工事の内容によって費用が大きく変わるため、まずは費用相場ごとに可能なリフォーム工事の内容を紹介します。
10万円未満のトイレリフォーム
10万円未満のトイレリフォームでは、洋式トイレの便座交換や手すりの設置、手洗い器の設置といった部分的なリフォームが可能です。
特にこの価格帯では、普通便座から温水洗浄便座への交換が中心となっており、本体費用と工事費を含めても、多くの場合が10万円未満でリフォームできます。ただし、上級グレードの温水洗浄便座へ交換する場合は、10万円を超えるケースもあります。
10万円以上～30万円未満のトイレリフォーム
10万円以上～30万円未満のトイレリフォームでは、洋式トイレの本体交換が可能になります。標準グレードであれば、本体価格と工事費用を含めて10～15万円前後、上級グレードのトイレに交換する場合は20～30万円ほどになります。
また、標準グレードのトイレへの交換であれば、30万円未満でも床や壁の張り替えといった内装リフォームも同時に可能です。
30万円以上のトイレリフォーム
30万円以上のトイレリフォームでは、上級グレードのトイレへの交換と内装リフォームを同時に行うことができます。
また、和式トイレから洋式トイレへの交換の場合も、30万円以上の費用が掛かるのが一般的です。和式トイレから洋式トイレへの交換では、トイレ本体の交換に加えて、内装リフォームや配管・電気配線の工事も行います。そのため費用も高額になりやすく、30～50万円前後が目安になります。
洋式トイレの種類と本体価格の目安
トイレリフォームでは、トイレ本体の種類によって価格に大きな差が出ます。そこでここからは、洋式トイレの種類と本体価格の目安について紹介します。
ただし、ご紹介するトイレの本体価格は、メーカー希望小売価格の目安です。実際にリフォームを行う際は、リフォーム会社が提供している工事とのセット価格となるため、本体価格が割安になるケースも多くあります。
組み合わせトイレ
組み合わせトイレとは、便座と便器、貯水タンクが別々になっており、組み合わせて設置するタイプの洋式トイレです。便座一体型トイレやタンクレストイレに比べると価格が安く、費用を抑えてリフォームしたい人にもおすすめです。
設置できる便座の種類も豊富であるため、必要とする機能の便座を選べます。また、便座が故障した際は、便座部分のみを交換できるので、修理費用も安く抑えられます。
ただし、便器と便座、貯水タンクの接合部分などに凹凸が多く、掃除の手間がかかる点がデメリットです。
- 組み合わせトイレの本体価格の目安：10～12万円
便座一体型トイレ
便座一体型トイレとは、便器と便座、貯水タンクが一体になった洋式トイレです。
組み合わせトイレに比べると、各パーツの接合部分の凹凸が少なく、掃除がしやすいことがメリットです。また、組み合わせトイレに比べて、貯水タンク部分の高さが低く、全体的にコンパクトでスタイリッシュなデザインになっています。
ただし、便座一体型トイレの場合、一部分が故障したとしても、すべてを交換しなければなりません。組み合わせトイレのように「便座のみを交換」といった対応ができない点がデメリットといえるでしょう。
- 便座一体型トイレの本体価格の目安：18～28万円
タンクレストイレ
タンクレストイレとは、水をためる貯水タンクが設置されていない洋式トイレです。
組み合わせトイレや便座一体型トイレは、貯水タンクにためた水を使って、便器内を洗浄しますが、タンクレストイレはトイレと水道が直結されており、直接水を流して洗浄します。
タンクレストイレは、貯水タンクがない分、デザインがすっきりとしており、洗練された見た目が魅力です。また、コンパクトで凹凸が少ないため、毎日の掃除も簡単です。
ただし、別途手洗い器を設ける必要があったり、停電時に水を流せなくなったりといったデメリットもあります。また、水圧の低い場所には設置できないという制限もあるため、リフォームの際は事前に確認が必要です。
- タンクレストイレの本体価格の目安：25万円～
トイレリフォームの工事期間
トイレリフォームは、工事の内容によって工期の長さも変わります。また、トイレが使えなくなる期間もあるため、リフォーム前には工期をしっかり確認しておきましょう。
トイレリフォームの工事内容と工期
| 便座交換 | 30分～2時間前後 |
|---|---|
| トイレ本体の交換 | 半日～1日 |
| トイレ交換＋内装リフォーム | 1～2日 |
| 和式トイレから洋式トイレへの交換 | 2日～5日 |
トイレが使えない期間
便座交換や洋式トイレの本体交換の場合、工事を行っている時間は、トイレの使用ができません。また、既存便器の取り外しから給排水工事を行っている際は、水の使用もできなくなります。
特にトイレ交換に加えて内装リフォームを行う場合や、和式トイレから洋式トイレへ交換する場合では、数日間リフォーム工事が続くため、トイレが使えない期間も長くなります。
トイレが使えない期間の対処法
便座交換や手すりの設置のような部分的なリフォームであれば、1時間前後で工事は終了しますが、トイレ交換を行う場合は半日以上、トイレが使えなくなります。
半日以上トイレが使えないとなると、生活に不便を感じることもあるでしょう。近隣の公共施設など、トイレを使用できる場所を事前にチェックしておくことが大切です。
和式トイレから洋式トイレへ交換する際の注意点
和式トイレから洋式トイレへの交換リフォームでは、費用も工期も膨らみやすい傾向にあります。さらに、リフォームの際には、個室の広さや段差の有無にも注意が必要です。
ここからは、和式トイレを洋式トイレにリフォームする際に知っておきたい注意点について解説します。
トイレ個室内の広さに注意
和式トイレは、本体のサイズが洋式トイレよりも小さいため、昔ながらの和式トイレの場合、個室の広さが0.3坪程度しかないこともあります。0.3坪ほどの広さしかない個室には、一般的な洋式トイレを設置することができません。
ただし、個室の広さが十分に取れない場合でも、個室の幅、奥行きがどちらも800mm以上あれば、貯水タンクをコーナーに設置できる洋式トイレ(コンパクトリフォームモデル)の設置が可能です。
段差の有無に注意
和式トイレでは、便器を設置する場所に段差があるケースも少なくありません。段差がある和式トイレを、洋式トイレにリフォームする際は、床を解体したうえで、下地補修、排水管の移動・延長を行うため費用が高くなりがちです。
和式トイレを洋式トイレにリフォームする際は、床の段差の有無に合わせて、予算を検討しましょう。
トイレリフォームで利用できる助成金・補助金
トイレのリフォーム費用を抑えたい人は、補助金制度の利用を検討してみるのがおすすめです。ここからは、トイレリフォームで利用できる補助金制度を紹介します。
介護保険
介護保険とは、介護が必要な方を支援する国の制度です。介護保険で受けられるサービスには、さまざまなものがありますが、サービスのひとつに「住宅改修への補助金」があります。
介護保険による補助金の支給上限額は20万円となっており、一定の条件を満たせば、補助金を受けられます。
介護保険のサービスが受けられる人の要件
- 第1号被保険者（65歳以上の高齢者）
- 第2号被保険者（40～64歳の特定疾病患者のうち介護が必要になった人）
補助金の対象となるトイレリフォームの工事内容
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
こどもみらい住宅支援事業
こどもみらい住宅支援事業は、2021年11月からスタートした国の補助金事業です。
子育て支援及び2050年カーボンニュートラルの実現を目的としており、子育て世帯や若者夫婦世帯による省エネ性能を有する新築住宅や既存住宅の省エネ改修に対する補助を実施しています。
リフォームにおける対象者の要件
- リフォームする住宅の所有者等であること
- こどもみらい住宅事業者と工事請負契約等を締結してリフォーム工事をする人
新築住宅におけるこどもみらい住宅支援事業は、子育て世帯（申請時点において2003年4月2日以降に出生した子を有する世帯）や若者夫婦世帯（申請時点において夫婦であり、いずれかが1981年4月2日以降に生まれた世帯）が対象となります。しかし、リフォームでは子育て世帯、若者夫婦世帯でなくても制度の利用が可能です。
補助金の対象となるトイレリフォームの工事内容
- 開口部の断熱改修
- エコ住宅設備の設置（節水型トイレなど）
また、上記の工事と同時に行うことを条件に、下記のリフォーム工事も対象となります。
- バリアフリー改修（手すりの設置、段差解消）
おしゃれで快適なトイレにリフォームするポイント
トイレは生活に欠かせない空間です。清潔感があり、おしゃれで快適なトイレにするためには、リフォームの際に、次のポイントもチェックしておきましょう。
お手入れのしやすさも重視する
トイレは家の中でも汚れやにおいが気になりやすい場所です。
リフォームをする際は、簡単なお手入れで、快適な空間を保てる機能性クロス（防汚機能、消臭機能のある壁紙）や汚れがつきにくい素材の便座、自動洗浄機能が搭載されたトイレなどを検討してみるのもいいでしょう。
おしゃれさを追求するならタンクレストイレを選ぶ
すっきりと洗練されたトイレを目指したい場合は、タンクレストイレを採用するのがおすすめです。
タンクレストイレは、貯水タンクがない分、コンパクトでおしゃれなデザインの製品がそろっています。機能性が高いものも多いため、ワンランク上のトイレ空間を演出できます。
トイレ自体に手洗い器がついていないので、別途独立した手洗い器を設置する必要がありますが、手洗い器のデザインにもこだわれば、さらにおしゃれな空間づくりを実現できるでしょう。
壁紙や照明にもこだわる
インテリア性の高いトイレを目指したい人は、リフォームの際に、壁紙や照明にもこだわってみましょう。
清潔感を重視したいトイレは、白やオフホワイトなどの壁紙を選ぶのが一般的ですが、一面だけ絵柄の入った壁紙などを使ったアクセントクロスをあしらうのもおすすめです。
トイレリフォームで失敗しないために信頼できるリフォーム会社に相談しよう
トイレのリフォーム費用の相場は、部分的なリフォームであれば10万円未満、トイレ交換が入ると10万円から30万円以上です。また、リフォームにかかる期間は、便座交換のみであれば30分～2時間前後と短時間ですが、トイレ本体を交換した場合は、半日～1日程度かかります。
リフォームの際は、トイレを使えない期間もあるため、事前に周辺でトイレを使用できる施設がないかチェックしておきましょう。
トイレのリフォームを検討中の方は、まずはリフォーム会社のホームページなどで、各社の実績をチェックしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
