マンションリフォームの費用相場は?リノベーションとの違いや注意点を解説

家全体リフォーム

年月とともに、お住いのマンションの劣化や不具合が気になり始めたら、リフォームの検討をおすすめします。また中古マンションを購入して、自分好みにリフォームしたいとお考えの人も多いのではないでしょうか?

そこで、マンションのリフォームにかかる費用相場や工期、リノベーションとの違いや注意点について詳しく解説します。

マンション内の「リフォームできる場所」「リフォームできない場所」などの気をつけるべき点や、マンションリフォームで利用できる補助金制度・減税制度についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

マンションリフォームの費用相場

ひとことにマンションリフォームといっても、リフォームをする場所によって、費用相場は大きく変わります。まずは、マンションリフォームの費用相場について、リフォーム場所別に詳しく解説します。

マンションのフルリフォームの費用相場(3LDKの場合)

近年、多く見られるのが、マンションの部屋全体をリフォームする「フルリフォーム」です。フルリフォームには、間取り変更を伴うスケルトンリフォームと、間取り変更を行わない内装フルリフォームがあります。

70~80㎡前後・3LDKの場合

  • スケルトンリフォーム:1,000万円~
  • 内装フルリフォーム:700万円~

スケルトンリフォームとは、建物の構造躯体のみを残して解体し、間取りを含めて新しく作り直す方法です。内装だけでなく、間取りも変更できるので、ライフスタイルに合わせた住まいを実現できます。

スケルトンリフォームに対して内装フルリフォームは、間取りの変更を行わず、壁紙や床材を刷新する方法です。内装リフォームに加えて、キッチン・お風呂・トイレなど水回りの設備変更を行う場合もあります。

スケルトンリフォームと内装フルリフォームの費用を比較すると、住戸内の解体・撤去作業が入るスケルトンリフォームのほうが高くなるのが一般的です。

水回り(トイレ・お風呂・キッチン)リフォームの費用相場

リフォームの中でも、設備の老朽化によるリフォームが求められるのが、トイレやお風呂、キッチンなどの水回りです。それぞれのリフォーム費用の相場を見ていきましょう。

場所費用相場
トイレ・部分的なリフォーム(便座交換、手すりの設置など):10万円未満
・トイレ交換を含むリフォーム:10万円~30万円以上
お風呂・部分的なリフォーム(手すりの設置、浴室ドアの交換など):50万円未満
・ユニットバスの交換:50万円~100万円未満
・在来工法からユニットバスへの交換:100万円以上
キッチン・部分的なリフォーム(コンロ交換、食洗器の設置など):50万円未満
・キッチン全体の交換:50万円以上

内装(壁紙・フローリング)リフォームの費用相場

壁紙やフローリングも、年月とともに汚れや劣化が目立ち始めます。壁紙やフローリングのリフォームは、リフォームする面積や使用する壁紙、フローリング材の種類によって費用が変わります。

場所費用相場
壁紙・スタンダードグレードの壁紙:800~1,000円/㎡
・ハイグレードの壁紙:1,000~1,500円/㎡
フローリング・張り替え工法:14,000~20,000円/㎡
・重ね張り工法:9,800~17,000円/㎡

マンションリフォームにかかる期間

マンションリフォームにかかる期間は、工事の内容や規模によって異なります。一般的なリフォームの工期は、以下のとおりです。

場所工期
スケルトンリフォーム・1.5~2ヶ月前後
内装フルリフォーム・1~1.5ヶ月前後/td>
トイレ・トイレ本体の交換:半日~1日
・トイレ交換+内装リフォーム:1~2日
・和式から洋式への交換:2~5日
お風呂・ユニットバス交換:3~5日
・在来工法からユニットバスへの交換:7日前後
キッチン・キッチン全体の交換:2~4日
・キッチン交換+内装リフォーム:10日前後
壁紙・3LDK全体の張り替え:5~8日
・リビングの張り替え:2~3日
・寝室の張り替え1~2日
フローリング・6畳:2~3日(張り替え工法)、1~2日(重ね張り工法)
・洗面所や玄関:半日~1日前後

マンションリフォームのタイミングは?

築10年までは、壁紙など内装の汚れや劣化が目立つ部分のリフォームが中心となります。そして築10~20年頃になると、フローリングの張り替えや、トイレのリフォームなどを検討するケースが多くなります。

さらに築20年を超えてくると、キッチンやお風呂といった水回り設備の劣化、不具合が目立ちやすくなるため、水回りのリフォームや、フルリフォームを行う場合もあります。また築20年を超えると、家族構成やライフスタイルの変化もあるため、間取り変更を含めたフルリフォームを行う人も増えてくるでしょう。

マンションのリフォームはどこまでOK?

一戸建てのマイホームと違い、マンションには個人でリフォームできる場所(専有部分)と、個人ではリフォームできない場所(共用部分)があります。マンションリフォームを検討する際は、専有部分と共有部分の違いを理解しておくことが大切です。

個人でリフォームできる場所(専有部分)

マンションは、一戸建てと異なり、複数の世帯が暮らす集合住宅です。そのため、個人でリフォームできる場所は「専有部分」と呼ばれる住戸部分に限られます。

マンションの専有部分

  • 壁紙、床材、間仕切り壁(躯体部分を除く)
  • キッチンやお風呂、トイレなどの水回り設備 など

一般的に、壁紙や床材の張り替え、水回りの設備変更といったリフォームは可能です。ただし、使用できる床材に関しては、管理規約で条件が定められているケースもあります。

床や壁、天井に関しては、表層の壁紙の張り替えは問題ありませんが、マンションの構造を支える躯体部分(壁・床など)に影響を与えるようなリフォームは、基本的にはできません。構造躯体に影響を与えない間仕切り壁は、位置を変更したり取り除いたりすることも可能です。

個人ではリフォームできない場所(共用部分)

マンションの専有部分以外の場所は「共用部分」と呼ばれており、区分所有者(住人)が全員で共同して所有する場所になります。そのため、共有部分に関しては、個人でリフォームすることはできません。

マンションの共有部分

  • マンションのエントランス
  • エレベーター
  • 駐車場、駐輪場
  • マンションの廊下、階段
  • マンションの構造躯体である壁や天井
  • 窓枠、窓ガラス
  • 玄関ドア
  • ベランダ、バルコニー

マンションのエントランスやエレベーターなど、共同で使用している部分に関しては、個人でリフォームできないことは理解しやすいでしょう。

しかし、ここで注意が必要なのは、専有部分に隣接する窓や玄関ドア、ベランダなどです。これらの場所は、一見専有部分に見えますが「専有使用が認められた共用部分」なのです。そのため、個人でリフォームすることは原則認められません。

マンションの管理規約によっては、サッシの変更は不可でも窓ガラスだけ断熱性能が高い窓に変更可能であったりと、マンションごとの規約でどこまでリフォームできるか変わってくるので、マンションをリフォームする際は規約の確認や管理組合との調整が欠かせません。

リフォームとリノベーションはどう違う?

リフォームと似た言葉に「リノベーション」というものがあります。それぞれの違いは、一般的には以下のようにいわれています。

  • リフォーム:劣化や不具合の修繕を主とした工事
  • リノベーション:住まいの機能や価値を高める大規模な工事

リフォームが、修繕により住まいを快適にする工事であるのに対し、リノベーションは修繕に加えて、新たな機能を付与したり、ライフスタイルに合わせた価値を生み出す工事といえます。リノベーションの場合、部分的な工事よりも、間取りを含む住戸内全体といった大規模な工事になるのが一般的です。

近年では、新築マンションよりも安い価格で中古マンションを購入し、入居前に家族構成やライフスタイルに合わせたリノベーションを実施するケースも増えています。

マンションリフォームの注意点

マンションをリフォームする際は、集合住宅ならではの注意点があります。管理組合や管理会社、隣接する部屋の住人とのトラブルや法令違反を避けるためにも、これらの注意点についてしっかり理解しておきましょう。

リフォーム前に必ず管理規約を確認する

マンションのリフォームを検討する際は、事前にマンションの管理規約を確認しましょう。
マンションの管理規約では、リフォームに関して以下のような項目で、一定のルールが定められています。

  • 床材の規定(遮音等級)
  • 電気・ガスの容量規定
  • 搬入経路の規程
  • 工事時間の規程

マンションは一戸建てと異なり、階下に別の世帯が暮らしています。そのため、騒音によるトラブルを防ぐ目的で、管理規約で床材の「遮音等級」が定められているのが一般的です。

また、マンションでは全体の電気やガスの容量が決まっているため、各戸の契約アンペア数を個人で変更することができません。リフォームによって、消費電力の大きい電化製品を入れる際は、注意が必要です。

さらに、マンションではリフォームの機材や部材の搬入経路や工事時間も、管理規約で制限されている場合があります。リフォームを実施する前には、施工会社とともに管理規約をしっかり確認してトラブルを防ぎましょう。

管理組合や管理会社へ申請を行う

マンションのリフォームを行う際には、マンションの管理組合に工事申請書を提出する必要があります。工事申請書に、工事の内容や期間、施工会社などを記入して申請し、工事開始前に管理組合より承認を受けます。

工事申請書は管理組合によって書式が異なるため、事前に管理組合に相談して取り寄せておきましょう。また申請書には工事内容などを記載する必要があるため、施工を行うリフォーム会社に記入を依頼するのが一般的です。

隣接する部屋には挨拶に行く

集合住宅であるマンションでは、工事の騒音が隣接する部屋に響きやすいため、事前に上下左右の部屋に挨拶に伺い、リフォーム工事を行う旨を伝えておくことをおすすめします。

大規模なリフォームの際は仮住まいも検討する

設備交換や壁紙の張り替えといったリフォームの場合は、マンションに住みながら工事を行うことが可能です。しかし内装フルリフォームやスケルトンリフォームを行う際は、仮住まいを用意して、一時的にマンションを空けるケースも少なくありません。

仮住まいとしては、実家やウィークリーマンション、マンスリーマンションなどがおすすめです。とくに短期間での契約が可能なウィークリーマンション、マンスリーマンションであれば、何らかの理由でリフォームが長引いてしまっても、契約期間を変更することができます。
また、一時的に家財を預けておけるレンタル倉庫などが必要になる場合もあります。

法令によるリフォームの制限

建築関係の法令は、建築基準法・都市計画法・消防法など様々な法令があります。

多くの人が居住するマンションの場合、防火・耐火性能による内装制限が特に気をつけるべき点です。

居室がある階数や専有面積、建物の構造、火器を使用するキッチンをオープンにするか垂れ壁等で区切るかなど、様々な条件で使用できる内装材が変わります。

木のぬくもりがあるリフォームをマンションで検討する場合は、不燃材ではない無垢材が大半なので特に注意が必要です。

法令違反にならないためにマンションのリフォーム実績が豊富なリフォーム会社に依頼することが重要です。

マンションリフォームで使える補助金制度

マンションのリフォームは、工事の場所や内容によって費用が大きく変わります。「できる限り出費を抑えながら、快適な住まいにリフォームしたい」とお考えの場合は、補助金制度の利用を検討してみましょう。

ここからは、マンションリフォームで利用可能な補助金制度について解説します。

既存住宅の断熱リフォーム支援事業

既存住宅の断熱リフォーム支援事業とは、エネルギー消費効率の改善と低炭素化を促進するための支援事業です。指定の申請要件を満たした場合、マンションのリフォームでは、以下の工事が補助金の対象となっています。

  • 高性能建材(ガラス・窓・断熱材)
  • 玄関ドア

次世代省エネ建材の実証支援事業

次世代省エネ建材の実証支援事業とは、省エネ改修の促進が期待される高性能断熱債や蓄熱・調湿材などの効果の実証を支援する事業です。マンションリフォームでは、指定の要件を満たした場合、以下の工事が補助金の対象となります。

  • 室内側から断熱パネルや潜熱蓄熱建材等を用いて改修するリフォーム

こどもみらい住宅支援事業

こどもみらい住宅支援事業とは、子育て世帯や若者世帯の支援、および2050年カーボンニュートラルの実現を目指した支援事業で、リフォーム工事も補助金の対象となっています。

新築住宅では、子育て世帯や若者世帯が対象ですが、リフォームにおいてはリフォームする住宅の所有者であり、こどもみらい住宅事業者と契約してリフォーム工事をする人が対象となり、子の有無や年齢による制限はありません。
対象となるリフォーム工事は、以下のとおりです。

  • 開口部の断熱改修
  • 外壁、屋根・天井または床の断熱改修
  • エコ住宅設備の設置

また上記工事のいずれかと同時に実施する場合、下記リフォームも補助金の対象となります。

  • 子育て対応改修
  • 耐震改修
  • バリアフリー改修
  • 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
  • リフォーム瑕疵保険等への加入

マンションリフォームで使える減税制度

マンションのリフォーム費用を抑える方法としては、補助金の申請以外に減税制度の利用も検討可能です。ここからは、マンションリフォームで使える減税制度について紹介します。

リフォーム減税制度

ローンを利用してリフォームを行う場合は、住宅ローン減税の利用が可能です。住宅ローン減税では、年末の借入残高の0.7%の控除が受けられ、マンションリフォームの場合、控除期間は10年です。

また、耐震リフォームやバリアフリーリフォーム、省エネリフォーム、三世代同居リフォームといった特定のリフォームを自己資金で行った際も、所得税からの控除が受けられます。

住宅取得等資金に関する贈与税非課税措置

リフォームの際に、両親や祖父母からリフォーム資金の贈与を受けた場合、原則110万円までは、贈与税の対象にはなりません。ただし、指定の要件を満たした場合は「住宅取得等資金に関する贈与税非課税措置」が適用され、最大1,000万円までが非課税になります。

マンションリフォームで失敗しないために信頼できるリフォーム会社に相談しよう

マンションのリフォームには、間取りから変更するスケルトンリフォーム、内装フルリフォーム、水回りの設備交換など、さまざまな工事があります。お住まいのマンションの状態やライフスタイル、予算に合わせて、適切な工事を選択することが大切です。また一戸建てにはないマンション独自の注意点なども存在しています。

マンションリフォームをご検討中の方は、まずは実績豊富なリフォーム会社に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

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